カルガモハック/川上博史
デイサービス(通所介護)の送迎について、「いま何名まで運べますか」と伺っても、答えは出てきません。
多くの事業所さまは、送迎を理由にお断りにならないからです。フロアの職員を送迎に回す、車に詰めてお乗せする、予定外にもう一便出す ── 何とでも組んで、受けておられます。
無理を3つともしておられるなら、それはもう余力がないということです。この診断は、そこだけを見ています。
2026年9月まで、この診断は車両の台数と時間から「何名まで運べるか」を計算していました。その方法はやめました。
実際の現場には、設問では表せないことが多すぎたからです。助手席がリフト仕様の車、車椅子ごと積めるが2名しか乗れない車、他の部署から借りている車、日によって11名から20名まで変わるご利用人数、車2台で1名をお運びする二人介助 ── 設問を足せば足すほど、実態から離れていきました。
だから計算をやめ、「現場で実際に起きていること」を伺う形に変えました。これなら、どんな車両構成の事業所さまでも、正直にお答えいただけます。
| # | 質問 | 何を見ているか |
|---|---|---|
| 1 | 定員は何名ですか | 事業所の規模。判定には使いません |
| 2 | 朝の送迎のために、フロアの職員が出ることがありますか | 運転する人が足りているか。フロアから回しておられるなら、その時間は見守りが手薄になります |
| 3 | 車の2列目・3列目に、3人並んでお座りいただくことがありますか | 席が足りているか。詰めてお乗せしているなら、余裕がありません |
| 4 | 予定外に2便目を出すことがありますか | 朝の時間が足りているか。もう一便出るぶん、朝が延びています |
| 5 | 送迎の順番と注意点は、紙かデータになっていますか | 特定の方に頼っていないか。口頭だけなら、その方が休んだ日に回りません |
| 6 | 毎日の送迎の組み方を決める方は、決まっていますか | 組む人がいるか。決まっていなければ、その日の状況で決まります |
問2〜4で「毎日」「週に数回」「よくある」を選ばれたものを「無理のサイン」として数えます。
| 無理のサイン | 判定 | 意味 |
|---|---|---|
| 0個 | 余力があります | いま以上にご利用者が増えても、お運びできる見込みです |
| 1〜2個 | 無理をして回しておられます | お断りになっていないぶん、無理はどこかに出ています |
| 3個(問5・6に直せる余地あり) | 無理をして回しておられます | 組み方を整えれば、余地が出る可能性があります |
| 3個(問5・6とも整っている) | 車と人が根本的に足りていません | やるべきことはやったうえで回っていない状態です |
稼働率が上がらないとき、多くの事業所さまは営業から手をつけられます。チラシを配る、ケアマネジャーさんを回る、見学を増やす。
ですが、朝の送迎がすでに無理をしている状態で利用者が増えると、増えたぶんの無理はそのまま現場に乗ります。フロアの見守りがさらに薄くなる、ご利用者がもっと窮屈になる、朝がもっと延びる。
営業をする前に、受ける器があるかを確かめる。この診断は、そのためのものです。