通所介護(デイサービス)の稼働率改善|カルガモハック
私たちは、新しいお客様を集める前に、いま来てくださっている方の利用回数を見ます。
その理由を、計算式で説明します。
稼働率は、2つの数字の掛け算でできています。
多くの改善策は左側(登録者数)を動かします。
カルガモハックは、右側(平均の週利用回数)から入ります。
新規獲得を否定しているのではありません。むしろ必要です。
ただ、席が空いているのに、いま来ている方の回数を確かめないまま新規を集めるのは、順番が逆だと考えています。
定員10名のデイホームを例に、同じ「稼働率を上げる」でも、左右どちらを動かすかで結果がどう変わるかを計算しました。前提はすべて下に書いています。
| 前提 | 数値 |
|---|---|
| 定員 | 10名 |
| 営業日数 | 月24日 |
| 登録者数 | 30名 |
| 平均の週利用回数 | 週1.0回 |
| 1回あたりの単価 | 8,900円 (要介護2・地域密着型通所介護7時間以上8時間未満=890単位/1単位10円で計算) |
| 動かす数字 | 月の延べ利用回数 | 稼働率 | 増える回数 | 年間の増収(試算) |
|---|---|---|---|---|
| 現状 | 129.0回 | 53.8% | — | — |
| ① 登録者数を 30名 → 40名 | 172.0回 | 71.7% +17.9pt |
+43.0回 | +459万円 |
| ② 平均の週利用回数を 週1.0回 → 週1.5回 | 193.5回 | 80.6% +26.9pt |
+64.5回 | +688万円 |
② は ① の 約1.5倍
| ① 登録者数を増やす道 | ② 週の回数を増やす道 | |
|---|---|---|
| 効果が出るまで | 新しい方が集まるまで待つ | いま来ている方なので、翌月から動く |
| かかる費用 | 広告費・チラシ・営業の工数 | 0円(席はすでに空いている) |
| 送迎への負担 | 新しいルートが必要になることがある | 既存ルートの空き日に乗せられる |
| 始めるのに必要なもの | チラシ1枚から始められる | 登録者全員分の「カルテ」がないと始まらない |
最後の行が答えです。手間がかかるからです。
「利用回数を増やしましょう」と言うだけなら誰でもできます。しかし実際に増やそうとすると、次の3つが立ちはだかります。
| 立ちはだかるもの | 中身 |
|---|---|
| ① 制度の天井 | 介護保険には区分支給限度基準額という1か月の上限があります。すでに上限近くまで使っている方は、回数を増やせません。増やせば自己負担が跳ね上がります。これは利用者お一人ずつ、担当ケアマネジャーに確認しないと分かりません。登録30名なら30名分です。 |
| ② 増える理由がない | 上限に余裕があっても、「もう1日来てください」と言うだけでは来ていただけません。もう1日来たくなる理由が要ります。その理由は、ご本人に伺わないと分かりません。 |
| ③ 席があっても、運べない | 回数が増えれば送迎も人員も動きます。席が空いていても、その日にその方を車で運べなければ、回数は増やせません。ここが見落とされがちです。次の章で説明します。 |
この3つを1件ずつ潰す作業は、地味で、時間がかかり、目立ちません。だから後回しにされます。私たちは、ここを本業にしています。
私たちが送迎を専門にしてきた理由が、ここにあります。
稼働率の話は「席が空いているかどうか」で語られがちです。しかし実際の制約は、席ではなく朝の送迎にあります。朝、車が回りきる人数が、その日に受け入れられる人数の上限を決めているからです。
| 送迎キャパシティを決めるもの | 意味 |
|---|---|
| 朝に使える時間 | 何時から何時までに全員をお迎えできるか |
| 車の台数と定員 | 同時に何人運べるか |
| 運転できる職員の人数 | 台数があっても、運転する人がいなければ動きません |
| ご自宅の位置と並び順 | 同じ台数でも、順番次第で運べる人数は変わります |
ですから、順番はこうなります。
私たちが最初に作るのは、チラシでも、ホームページでもありません。登録者全員分の一覧表です。
| 確認する項目 | 何が分かるか |
|---|---|
| 介護度/認定の有効期間 | 単価と、区分変更の時期 |
| 1か月の限度額と、いまの使用量 | あと何回増やせるか(いちばん重要) |
| いまの週利用回数・曜日 | 空いている曜日はどこか |
| 利用期間 | 関係の深さ、提案が通りやすいか |
| 他事業所との併用の有無 | 他所の曜日をこちらに寄せられるか |
| ご家族構成/判断されるのはどなたか | ご本人に伺うか、ご家族に伺うか |
| 利用の動機(なぜここを選ばれたか) | 次の方を集めるときの言葉になる |
| 送迎ルート上の位置 | 増やしたとき車が回るか |
この一覧を作ると、登録者は自然と「増やせる方」「条件が揃えば増やせる方」「増やせない方」に分かれます。あとは、増やせる方から順番に手を打つだけです。
何をするかと同じくらい、何をしないかを先にお伝えします。
| ① あらかじめ個別サービス計画(通所介護計画)に位置づけられていること | 思いつきで出かけることはできません。計画に書いてあることが前提です。 |
|---|---|
| ② 効果的な機能訓練等のサービスが提供できること | 「楽しんでいただく」だけでは足りません。その方の目標に対して、どう役立つかが説明できる必要があります。 |
ですから私たちは、伺ったご要望をそのまま行事にはしません。「歩く距離を伸ばす」「人と話す機会を増やす」といった機能訓練の目標に結びつけたうえで、計画に位置づけます。あわせて、実施前に指定権者(市町村または都道府県)へ確認します。
※出典:老企第36号 第2の7、平成24年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)問59。自治体によっては「頻回でないこと」など運用上の条件を別に示している場合があります。
| 前提条件 | 定員10名のデイサービス/対象は要支援2の方10名 /お住まいの市町村の総合事業の上限が月8回まで設定されている地域 |
|---|---|
| 何をしたか | 10名の方について、上限までの余裕をケアマネジャーに確認したうえで、ケアプランの見直しを経て月4回のご利用を月8回に変更(=月の延べ利用回数が40回増) |
| 単価 | 1回447単位/1単位10円で計算(447単位 × 40回 × 10円 = 178,800円) |
| 結果(3か月) | 稼働率 68% → 85%/月あたり +178,800円(年換算 +2,145,600円) |